さとう あかり

このブログは如何なる団体にも所属しない個人の発言です。

完璧な人間

 サヤカは周りが信じられなかった。

 

 過去に何かトラウマがあった訳ではない。生まれつき周りを信じるという事を知らなかった。

 

 医者にもかかった。医者は別に異常はない、と言うだけだった。

 

 人に優しくするということを試してみた。

しかし優しくしても周りを信じる事はできなかった。

 

 恋人を作ろうとしてみた。

しかし恋人を作っても周りを信じる事はできなかった。

 

 周りの死を体験してみた。

しかし周りの死を体験しても、周りを信じる事はできなかった。

 

 サヤカは病気なのだろうか。

しかし医者は異常はないと言ったはずだ。

 

 「失敗だな」

遠い向こうで声がした。

 

 サヤカは意識を失った。

目の前が真っ黒になった。

 

 

 遠い向こうでは何体ものサヤカが意識を失っていた。

 完璧な人間ができるのは、いつだろうか。