完璧な人間
サヤカは周りが信じられなかった。
過去に何かトラウマがあった訳ではない。生まれつき周りを信じるという事を知らなかった。
医者にもかかった。医者は別に異常はない、と言うだけだった。
人に優しくするということを試してみた。
しかし優しくしても周りを信じる事はできなかった。
恋人を作ろうとしてみた。
しかし恋人を作っても周りを信じる事はできなかった。
周りの死を体験してみた。
しかし周りの死を体験しても、周りを信じる事はできなかった。
サヤカは病気なのだろうか。
しかし医者は異常はないと言ったはずだ。
「失敗だな」
遠い向こうで声がした。
サヤカは意識を失った。
目の前が真っ黒になった。
遠い向こうでは何体ものサヤカが意識を失っていた。
完璧な人間ができるのは、いつだろうか。